公的介護保険制度とは
民間生命保険の「介護保険」商品の前に、公的な介護保険制度について触れたいと思います。公的介護保険制度は40歳になった月から全ての人が対象者となり、保険料の支払い義務が生じます。65歳以上の人を「第1号被保険者」、40歳から64歳までの人を「第2号被保険者」といいます。
第2号被保険者は、末期がんや関節リウマチ、脳血管疾患などを含む全部で16種類の特定疾病に該当し、要介護認定を受けた場合のみ介護保険を利用することが出来ます。
また、たとえ要介護状態になったとしても39歳以下の人は介護保険を利用することが出来ません。
民間生命保険の「介護保険」
民間生命保険の介護保険は、各保険会社によって内容が異なります。保険金の支払われ方については「一時金型」と「年金型」に分かれます。一時金型は所定の状態に該当した場合に保険金が一度支払われるのに対し、年金型は毎年保険金が払われます。
保険金が支払われる条件は、保険会社によって「要介護2相当」や「要介護3相当」になったときなど、基準を設けています。相当となっているのは必ずしも公的介護保険の要介護度と保険会社の基準が合っている訳ではないからです。
そのため、公的介護保険で要介護認定がされない場合でも、保険会社独自の基準に合致した場合には保険金が支払われます。
要介護度は数字が大きくなるに従って症状が重くなりますので、症状が重い「要介護3相当」で保険金がおりる保険商品よりも症状が軽い「要介護1相当」で保険金がおりる商品の方が、基本的には保険料は高くなります。
保険が掛捨てタイプか、解約返戻金のある積立タイプかによって保険料が異なりますし、保険料免除特約の有無、死亡時の保障の有無等によって保険料が大分違ってきますので、必要な保障を理解して加入しましょう。
民間生命保険の「認知症保険」
新型コロナウイルスの影響で外出を控えなければいけない状態が続き、高齢の方が人と触れ合ったり会話をする機会が減ってきています。老化による単なるもの忘れと、認知症とではどのように違うでしょうか。
もの忘れ
「老化による単なるもの忘れ」は次のようなものです。
- 体験したことの一部を忘れる(ヒントがあれば思い出す)
- 判断力は低下しない
- 忘れたことを自覚している
- 日常生活に支障はない
- 症状にあまり進行なし
認知症
対して「認知症」とは脳の神経細胞の病的な変化で、その症状は
- 体験したことをまるごと忘れる(ヒントがあっても思い出せない)
- 判断力が低下する
- 忘れたことの自覚がない
- 日常生活に支障をきたす
- 症状が少しずつ進行する
以上のような違いがあります。
介護が必要になる原因
ある保険会社のデータでは、2012年の認知症患者数は462万人であった認知症患者数は、2030年には830万人、2060年には1154万人に年々増加すると推計させています。
また厚生労働省の平成28年のデータによりますと、介護が必要となった原因は
- 認知症(18.0%)
- 脳血管疾患(脳卒中)(16.6%)
- 高齢による衰弱(13.3%)
- 骨折・転倒(12.1%)
- 関節疾患(10.2%)
- 心疾患(心臓病)(4.6%)
- 悪性新生物(がん)(2.4%)
自分が認知症になってしまった時、他人に迷惑を掛けないためにも保険に加入しておきたいものです。
認知症にならないためには
近年、研究によって健常者と認知症の中間には、軽度認知症障害(MCI)という「認知症予備軍」といえる状態があることがわかってきました。軽度認知障害(MCI)は認知機能に軽度の障害がある状態で、病気ではありません。このMCIの段階で適切な予防対策を行うことで回復したり、認知症の発症を遅らせることができると言われております。その方法は、
運動の習慣をつける
運動が認知機能のアップにつながることが臨床研修で明らかになっています。
食事を改善する
魚介類に豊富に含まれているDHAやEPA,各種ビタミン、ポリフェノールがおすすめです。
生活習慣病を改善する
「糖尿病」「脂質異常症」「高血圧」などの病気は、認知症の発症を早める要因になる可能性があります。喫煙やアルコールの多飲は認知症の危険因子と言われております。
知的刺激を高める
脳を活性化させる働きのある、さまざまな脳のトレーニングに挑戦してみましょう。一度に2つ以上の課題に取り組むデュアルタスク(二重課題)も効果的です。
社会脳を鍛える
社会からの孤立は認知症の症状を悪化させることが知られています。デイケアを始め、できる範囲で地域の交流活動に参加しましょう。
まとめ
公的社会保障の財源が厳しいのに、高齢社会がどんどん進む日本では、将来の備えを自分で考える必要があります。
加入している生命保険の中に「死亡保障」「入院・手術」「3大疾病等」の他に「介護」や「認知症」になったときの保障が必要かどうか検討しておきましょう。