働き方改革によって業務委託契約が増えている!?
働き方改革は国が「労働時間の短縮と労働条件の改善」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」「多様な雇用形態の普及」「仕事と生活(育児、介護、治療)の両立」を目的として2019年4月にスタートさせた制度です。
働き手を守ってもらえる制度のため一見良いのですが、残業が少なくなり給与が減ったり、継続雇用してもらえずリストラにあうケースもあります。
そのため就業形態として「雇用される」のではなく、フリーランスとして「業務委託契約」を結び売上歩合で働く人も増えてきています。この場合、会社員ではなく「個人事業主」となります。
業務委託契約とは?従業員と何が違う?
会社側は従業員として雇用すると社会保険(健康保険、年金、雇用保険、労災保険)として給与の2割程の経費が発生します。また、仕事が無い時でも給与を払わなければいけませんので人件費が負担となります。それを業務委託契約にすると仕事をした分だけ報酬を支払えばいいので、通常より高額な報酬を支払うことになります。
一方、個人事業主として仕事を貰う側は給与の保証が無くなり、自分の才覚で仕事の請負先を見つけて行かなくてはなりません。また、社会保険(健康保険、厚生年金)と比べてメリットが少ない国民健康保険と国民年金に切替となり、雇用保険や労災保険も適用外となります。
個人事業主としてすべき事は?
働き方を「個人事業主」にすると決めた場合は、開業時から1ヶ月以内に最寄りの税務署に開業届を提出しなければなりません。そして毎年自分で確定申告をします。今は、市販の会計ソフトで自分のパソコン用で青色申告をして損益計算書や貸借対照表も作成でき、そのままe-Tax(電子申告)で申告を済ませることが可能です。
個人事業主と住宅ローン
住宅ローンを借りる際、会社員と個人事業主を比較した場合、同じ収入があったとしても個人事業主の方が圧倒的に不利になります。
住宅ローンを貸す側から見たとき、会社員の収入は源泉徴収票の給与の額で判定します。一方、個人事業主は「収入」から必要経費を差し引いた「所得」の額で判定されます。仮に事業収入が2000万円あっても経費が1600万円あれば判定される「所得」は400万円となります。節税のためによかれと思って対策を取っていると住宅ローンが組めない状況に陥るかもしれません。
更に、ほとんどの金融機関では最低でも事業開始から3年経っていないと住宅ローンが組めない可能性が高いです。3年分の決算書と確定申告書を提出した上での「所得」金額における住宅ローンの返済負担率での判断となりますので、注意が必要です。
- 会社員・・・源泉徴収票の給与額
- 個人事業主・・・収入から経費を引いた所得の額
「フラット35」における個人事業主の審査
住宅金融支援機構提携の「フラット35」では、自営業者の方の審査基準が他の民間金融機関と異なっています。
審査をするのが1年間の「所得」についてとなっています。事業収入から必要経費を引いた「所得」についての定義は他の金融機関と同じですが、判定する期間が直近の1年間のみですので開業間もない場合や、業績が急に伸びた場合などは「フラット35」が借りやすいと言えます。
また審査を受ける際、他の金融機関では3年分の決算書の提出を求められますが、フラット35では決算書は不要となっていますので、その点も申し込みがし易いと言えます。
ただし、確定申告書の写しと税務署が発行する納税証明書の提出は必要ですので、税金や健康保険料などの支払いができていないと審査が通りません。
自営業者が行うべき住宅ローン借入の対策
住宅ローンを借りる際、自営業者は会社員と比べて不利である事がお分かり頂けたと思います。
自営業者が住宅ローンに通りやすくなるために取れる対策としては次のようになります。
- 勤めている会社がある場合は独立する前に住宅ローンを借りる
- 住宅ローンを借りる前の3か年は節税を程々にして「所得」を多くする
- なるべく頭金を多く貯めておく
- 税金の未納を無くする
まとめ
働き方改革の影響で今まで支払われていた残業代が減ったり、または、転職を余儀なくされるケースが今後増えていきます。
これから住宅ローンを申し込もうと考えている場合は上記に気を付けて対策を練る必要があります。
今回は個人事業主の場合を例に挙げて解説しましたが、例えば法人を立ち上げて役員給与をもらう形にしたらどうか等、今という時代だからこそ、住宅ローンも先を見越して計画的なプランを立てることが大切です。
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