借地権付建物建物を購入する場合
土地を購入する代わりに、地権者から借りて住宅を建てることで、総費用を抑えることができる借地権ですが、住宅ローンの審査ハードルが高くなるため、注意しなければならないポイントがあります。
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借地権と底地売買
借地借家法10条では、土地に借地権を登記していなくても、その土地の上に借地権者名義の建物が登記されていれば、第三者がこの土地を取得しても借地権を主張できるとしています。
つまり、借地権者以外の名義で建物を登記すると、地主が変わった場合、新しい地主に借地権を主張できないおそれがあります。
地主は滅多に変わらないため、こうした状態で家を建てる人は少なくありませんが、最近では土地を底地売買専門業者に売却する地主も増えています。業者は法律に精通しているため、建物を借地権者名義で登記していないと、立ち退きを迫られることもあります。
借地権付建物への抵当権設定
借地権付建物の場合、土地の所有者は地主なので、抵当権は建物にしか設定できません。
借地権者と建物の名義人が同じであれば、建物に抵当権を設定することで、借地権にも抵当権の効力が及びます。しかし、借地権者と建物の名義が異なると、建物に抵当権を設定しても借地権には抵当権の効力が及びません。担保評価は建物のみになります。
親の名義で借地権契約をしていて、同居する息子名義で家を建て替えるといった場合、親の年齢で住宅ローンを組むのは難しい場合があります。息子名義に借地契約を変更すると、借地権が贈与されたとみなされ、贈与税が問題になります。この場合は、借地契約を共同名義でするとか、建物の名義を共有にするとかして、借地権者と建物の名義人を一致させるしかありません。
地主の承諾書
借地権がいわゆる賃借権の場合、地代の支払いが滞ったりすると、賃貸借契約が解除されるおそれがありますし、借地上の建物を売却や転貸する場合、地主の承諾を得る必要があります。
借地権の敷地に建築する住宅にローンを組む場合、金融機関は、抵当権の実行(担保の売却)に備え、通常、地主の承諾書を取り受けています。承諾書には、具体的に「抵当権を実行、または任意処分して第三者が所有権を取得した場合は、引き続きその者に貸与する」「賃貸借契約を解除しようとするときはあらかじめ貴行に通知する」といった文言が入ります。
ただし、地上権の場合やマンションの場合、また、寺などが地主の場合には、承諾書の免除や文言の省略をする金融機関もあります。
確認を要する書類
- 底地の「登記簿勝本」
所有者(地主)および第三者の権利関係(抵当権の設定などがないこと)の確認
建物が建つ以前からある抵当権には、法定地上権を主張できません。法定地上権は、競売後に建物を存続させるための権利なので、これが主張できないとなると、抵当権が実行された場合、建物の所有者は、建物を撤去しなければいけなくなります。
もともと建物があった敷地について、後から土地だけに抵当権が設定された場合は法定地上権を主張できます。 - 実測図
借地契約との面積の整合性を確認します。 - 土地賃貸借契約書
借地面積、地主·借地人·地代·賃借期間等を確認します。
なお、借地権付建物を担保提供する際は、建物火災保険金請求権に質権設定されることがあります。借地権付建物の売買契約は、通常の不動産売買契約書と異なる点があるため、専門家に相談することが重要です。