変動金利の住宅ローンの仕組み
住宅ローンには、変動金利、一定期間固定金利、全期間固定金利の3つの種類があります。変動金利は金利上昇リスクがあるため、借入時の金利は変動金利が一番低く設定されています。
返済期間中、今のような低金利が続いた場合は返済する金額が一番少なく済むので、今後景気があまり良くならないと思う場合は変動金利を選択するのがよいでしょう。ただし、金利が上昇する場合にはリスクがありますので、どのタイミングで金利が変更になるか等、変動金利の仕組みを理解しておく必要があります。
変動金利型の金利は、主要銀行の短期プライムレートに1%程度上乗せをして基準金利が決まり、そこから各金融機関が定める優遇金利を引いて実際の適用金利となります。
「短期プライムレート(1.475%)」+1%程度=2.475%(一般的な変動金利の「基準金利」)
短期プライムレートはここ10年間1.475%で動きがないため、変動金利の基準金利は2.475%程で推移しています。
現在は住宅ローンを取り扱う金融機関が増え、競いながら金利の引き下げを行っていますが、金利計算の元となる基準金利が下がっている訳ではなく、独自の「優遇金利」キャンペーンによって引下げになっているのです。
「基準金利(2.475%)」-「優遇金利(例1.8%)」=0.675%(適用金利)
短期プライムレートとは
短期プライムレートとは銀行が優良企業を対象とした融資に使われるレートのことです。
短期プライムレートは日銀が決める政策金利を元にして決められ、政策金利が上がると、連動して短期プライムレートや住宅ローンの基準金利も上がります。一般的に短期プライムレートは2009年から1.475%で変わっておりません。
金利変更と返済額変更のタイミング
変動金利は年に2回金利の見直しが行われます。金融機関によって異なりますが4月と10月に見直される場合が多いようです。ここ10年程は短期プライムレートが変わっていないため、年に2回見直しがあっても基準金利は変わっていません。
一方、毎月分・ボーナス分の返済金額の見直し(変更)は5年に一回となっています。したがって、金利に変動があっても5年間は返済額の変更はありません。金利が上昇してもすぐにはその影響を受けない仕組みになっているのです。
また、金利が上昇しても毎月分・ボーナス分の返済金額は、その前の期間の返済金額の1.25倍が上限となっています。つまり、現在の毎月返済額が10万円であれば、いくら金利が上昇しても次の期間の返済金額は12万5000円が上限となります。そのため金利が大幅に上昇し、本来は15万円の返済金額になるべきところ、12万5000円で抑えられた場合等には、未払いの利息が発生し、将来へのツケとなってしまいます。
優遇金利について
変動金利の住宅ローンの実際の適用金利は「基準金利」―「優遇金利」で決まります。基準金利はほぼ自動的に決まりますが、優遇金利については世相や金融機関の思惑によって意図的に適用されます。その金融機関の意向に沿うことをすれば優遇が大きくなりますので、カードを作ること・給与振込の口座をその金融機関へ変更すること、等の条件をクリアすれば優遇幅が大きくなります。
もう一つ、覚えておきたいのは借入をする時期のことです。基準金利は10年前から変わっていないのに、10年前に変動金利で借入した人と、今の変動金利で借入する人では、圧倒的に今の方が金利は低くなっています。
これは金融機関が提示する優遇金利幅が以前より大きくなっているからです。現在はネット銀行などの金融機関の選択肢も増えており、金利の競争が激しくなっているため優遇金利で差をもたせています。
注意点は、変動金利であっても10年前の優遇幅が小さいローンで借りた人が、自動的に優遇幅の大きい今の金利になる訳ではない、という点です。
優遇金利は借入時に決まりますので、どうしても今の低い金利を適用したい場合は借換えをする必要があります。
変動金利の注意点
借入をする際他にも気を付けたいのが、優遇金利(キャンペーン)はいつまで適用になるのか、適用外になるのはどういった時かを確認しておくことです。現時点で適用金利が0.5%となっていても、あくまで基準金利は2.475%程度であり、2%近く特別に優遇されている事を忘れないようにしましょう。
また、基準金利が上がる情勢が訪れ、同時に優遇金利の幅も小さくなる、なんてことがありますと大幅な金利上昇に繋がりますので、注意が必要です。
まとめ
変動金利の適用金利=基準金利-優遇金利
*基準金利は、短期プライムレート(1.475%)+1.0% 程度で、これまで約10年間変わっていません。
つまり、基準金利は2.475%となりますね。
*優遇金利はその金融機関の条件を満たさなくなったときに縮小となり、適用金利は上がります。
毎月の返済額は5年毎に変更となり、金利上昇具合によっては未払い利息が発生し、最後に一括返済をしなければいけない場合もあります。
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