火災保険の必要性
まず住宅ローンを組むと金融機関との間で金銭消費貸借契約書を交わします。この金銭消費貸借契約書には住宅ローンの借入に関する諸々の規定が記載されており、この各規定は借入に関する重要な取り決めです。
ですので内容を十分に理解することがとても重要になります。
特に各規定のなかで火災保険と密接に関わってくるのが、借入金の期限前の一括返済に関する規定です。
例えば期間20年の住宅ローンを組んだ場合、20年間に渡って毎月ローンを返済していきますが、その返済期間内に一定の事由が発生した場合には、借入金を一括で返済しなければならないと定めています。
事由の一つとして定められているのが抵当物件が滅失し、損傷し、又は著しく減価したときという規定です。抵当物件とは、土地や建物のことでが、建物が火災等によって滅失、損傷、または著しく減価したときは、借入金を一括で返済して下さいという規定です。
この規定があるため、金融機関は火災保険の加入を推奨しています。火災保険の加入は金融機関の為というよりも、借入人本人にとってとても大事なことだからです。万が一の場合、建物は焼失し、かつローンの一括返済を求められたら大変なことになります。
こうした不測の事態への備えとして火災保険は重要な役割を果たしています。
借入人本人が防火に十分な注意をはらっていても、もらい火もあります。また、台風等の自然災害による被害も想定されます。そうした事態に備えて火災保険に加入することが重要です。
火災保険に加入する際に注意すること
火災保険は、主に①補償内容、②建物の構造、③保険金額、④保険期間によって保険料が異なります。その他、保険の目的の所在地によっても保険料は異なります。
地震保険は、火災保険とセットになっているため単独で加入することは出来ません。
火災保険の補償内容
火災保険加入時に、第一に検討すべきことは補償内容です。せっかく火災保険に加入したにも拘わらず、いざという時に補償されないということが無いようにすることが大事です。
また、臨時費用保険の内容についてよく確認して下さい。臨時費用保険とは、火災等が原因で保険金の支払いを受ける際、実際の損害額にプラスして支払われる費用保険金のことです。
例えば火災事故が発生した場合、実際の修理費以外に様々な出費が見込まれます。そうした臨時の出費を賄うために支払われるのが臨時費用保険金です。
保険会社が算定した損害保険金に対する一定割合が臨時費用保険金として支払われます。
(例:損害額の10%という具合で保険会社によって異なります)
建物の構造
火災保険の保険料は、建物の構造によって異なります。建物の構造は大別して耐火建物と非耐火建物に区分されます。木造建物は、非耐火建物になりますが、準耐火建物や省令準耐火建物に該当すると通常の木造建物より保険料が安くなります。
実際、加入する際に保険会社や保険代理店にご確認下さい。
保険金額
保険金額とは、火災保険の目的物(建物・家財)ごとに定めた保険金の支払限度額のことです。建物の場合は、再調達価格を基準に設定します。
再調達価格とは、新築であれば新築額。新築以外の場合は、現在の建物を同一程度に新たに建築した場合の建築額をいいます。
この再調達価格を基準に保険金額を設定しますが、実際の保険金額の設定は任意です。しかし、超過保険(再調達価格以上に保険金額を設定した場合超過部分は無効となります。)や一部保険(再調達価格以下で保険金額を設定した場合、実際のお支払時に保険金が減額になる場合があります。)にご注意下さい。
保険期間
保険期間は、1年契約から最長5年(2023年4月時点)契約まで設定できます。長期契約の方が1年契約より保険料が安くなります。
まとめ
火災保険に加入する際、補償内容を検討することはとても重要なことです。
補償内容によって保険料が最大40%異なることもあります。
補償内容に関連して保険料に影響するのが臨時費用保険の支払い条件です。臨時費用保険金の支払い条件についてよく確認しましょう。
補償内容は同じでも、保険金受取り時の自己負担額(免責金額)を設定することで保険料を安くすることも可能です。
保険料は、保険会社によって異なります。保険会社ごとに独自の保険料割引制度を設けている場合もあります。
複数の保険会社から見積もりを取り寄せ、その内容をよく確認することが大事です。
その際、信頼の置ける保険代理店から適切なアドバイスを受けられることをおすすめします。