金利引継特約付「フラット35」の概要
金利引継特約付フラット35とは、フラット35の返済中に融資住宅(長期優良住宅)を売却する場合に、その住宅を購入する人が債務を引き継ぐことができる特約です。
住宅を購入する人は、住宅を売却する方が利用していた借入金利のままでフラット35の返済を引き継ぐことができます。そのため、市場金利が上昇する局面では、新規に住宅ローンを借りるよりも低い借入金利で返済を引き継ぐことができる場合があります。
(参照元:フラット35サイト)
金利引継特約付「フラット35」を利用するためには?
金利引継特約付フラット35の制度を利用できるのは、融資住宅が「長期優良住宅」であることが条件となります。つまり、売買する住宅が長期優良住宅であれば、住宅購入者はフラット35の返済を引き継ぐ形での購入も許されているということです。
この制度を利用するにあたっては、当然のことながら住宅を購入する方の同意が必要となります。また、引継ぎにつきまして住宅金融支援機構の審査もありますので、希望通りにならない場合もあります。債務の承継にあたっては、抵当権変更登記費用などの費用がかかります。
金利引継特約付フラット35につきまして、フラット35の業者すべてで取扱っている訳ではなく、利用できる金融機関が限られています。
長期優良住宅とは?
それでは、この特約を利用可能な住宅の「長期優良住宅」とは、どんな家なのでしょうか。
長期優良住宅とは、長く安心・快適に暮らせる優良な住宅として国が定めた基準を満たし認定を受けた住宅です。厳密にいうと、長期優良住宅の普及の促進に関る法律(平成20年法律第87号)の規程により認定を受けた長期優良住宅建築等計画に基づき建築等が行われた住宅を示します。
具体的な認定基準の概要は、
- 省エネルギ―対策として「断熱等性能等級4」
- 劣化対策として「劣化対策等級3」
- 耐震性として「耐震等級(倒壊等防止)2以上または、免震建築物など」
- 維持管理として「維持管理対策等級3」
というように基準が設けられております。
ほとんど(耐震性以外)が住宅性能表示基準(住宅の品質確保の促進に関する法律(平成11年法律第81号))の最高の等級になっています。
長期優良住宅の認定戸数
長期優良住宅の普及の促進に関る法律(平成20年)が施行されてから約10年経ちますが、長期優良住宅の認定戸数は右肩上がりに増え累計100万戸を超えました。
国土交通省のホームページ「長期優良住宅建築等計画の認定状況について」によると2018年度の新築一戸建て住宅総数432,615戸のうち長期優良住宅108,800戸となっております。新築一戸建て住宅のうち、約4戸に1戸が長期優良住宅ということになります。
長期優良住宅の有利な点
長期優良住宅は一般の住宅に比べて税の特例措置の拡充や、地震保険料の割引があります。
税の特例措置
所得税 (住宅ローン減税) |
控除対象限度額の引上げ | 控除対象限度額4000万円 → 5000万円 (控除率1.0%、控除期間10年間、最大控除額500万円) |
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所得税 (投資型減税) |
所得税額から控除 | 標準的な性能強化費用相当額(上限:650万円)の10%相当額を、その年分の所得税額から控除 |
登録免許税 | 税率の引下げ |
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不動産取得税 | 課税標準からの控除額の増額 | 控除額1,200万円 → 1,300万円 |
固定資産税 | 減額措置(1/2)の適用期間延長 | 【戸建て】3年間 → 5年間 【マンション】5年間 → 7年間 |
住宅の免震・耐震性に応じた地震保険料の割引を受けることができます。
耐震等級割引 | (割引率) 耐震等級2 → 30% 耐震等級3 → 50% |
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免震建築物割引 | (割引率)50% |
フラット35S(金利Aプラン)が利用できます
長期優良住宅は、フラット35の金利引き下げ期間が当初10年間となるフラット35S(金利Aプラン)が適用されます。
2021年3月31日までの申込受付分に適用
金利引き下げメニュー | フラット35S(金利Aプラン) |
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金利引き下げ期間 | 当初10年間 |
金利引き下げ幅 | 年△0.25% |
長期優良住宅と、金利引継特約付フラット35
長期優良住宅につきまして概要を理解してもらえたと思います。性能の高い長期優良住宅を建築することで税金や地震保険料、金利に関して恩恵を受けられます。また、長期に渡って担保価値を維持することができるため、住宅を売却する際には、購入者は金利が有利な住宅ローンを引継ぐことを可能としている制度が「金利引継特約付フラット35」です。
「金利引継特約付フラット35」まとめ
- 金利引継特約付「フラット35」を利用するためには、住宅が「長期優良住宅」であることが必要。
- 現在、新築一戸建ての4戸に1戸は長期優良住宅である。
- 長期優良住宅は、税金・地震保険料・フラット35住宅ローン金利で有利となる。