購入予定の土地に「買戻特約」の登記がされていることがあります。この特約が付いた物件に住宅ローンは組めるのでしょうか?
買戻特約
買戻特約とは
土地の所有者が、その土地を売却した後、特定の期間内に一定の金額を支払うことによって不動産を買い戻すことができる特約のことを言います。
公的機関・公団の利用
買戻特約は「公的な宅地造成を円滑に行うために創設された特約制度」であり、公社等が宅地造成事業を行う際に、買主が土地を転売せず、自身が住むための住宅を建てる等の条件を守ってもらうために付けるケースが大半です。この条件が守られない場合、定められた期間内であれば公社等の売主はその土地を同額で買い戻すことができます。
買戻特約は登記されています
買戻特約は、土地の売買契約(所有権移転)と同時に登記をします。この登記によって、買主はもちろん、その買主からさらにその土地を買い受けた第三者に対しても、当初の売主が買戻しをすることによって、その土地の所有権を主張できることになります。
買戻特約の期間
買戻特約には必ず「買戻し期間」が明記されることになっており、最長でも10年を超えることができません。また、特に期間の定めがされていない場合には5年以内とされます。
売買契約の日から、この期間が経過していれば、買戻しの権利は消滅していますが、登記だけが抹消されずに残っていることがあります。金融機関に担保として提供する際はこの登記の抹消が条件になりますので、あらかじめ売主に抹消に関する確認をしておく必要があります。
個人契約の買戻特約
買戻特約は、公的機関や公団が土地を販売する際に利用されるのが一般的ですが、個人間売買にも利用されることがあります。その目的は、個人間の資金の貸し借りに伴うもので、貸した資金の担保とする代わりに不動産の所有権を貸主に移し、返済されたら買い戻すという形をとるものです。買戻特約となっていても、売主がそのまま占有している状態が続いている場合は、「譲渡担保」とみなされます。こうした個人間の買戻特約が付いたままの物件を第三者が購入して住宅ローンを組むことは避けるべきです。通常は住宅ローンも利用できません。
フラット35と買戻権付住宅
- 買戻権付住宅に関しては、フラット35(買取型)を利用する場合で、下記のいずれかに当てはまる場合に申し込みが可能です。
- フラット35(保証型)や、取り扱い金融機関がフラット35と併せて独自で融資するパッケージローンは、買戻特約付の物件には利用できません。
(1) 買戻権が行使されたときに生じる売買代金返還請求権に質権を設定する場合
(2) 過去に住宅金融支援機構と買戻権者が「買戻権等の調整に関する覚書」を締結している場合
🔹【フラット35】の対象となる買戻権者一覧