建設地が市街化調整区域内の場合であっても、適合証明書が発行され、住宅金融支援機構のために第1順位の抵当権の設定が可能であれば、借入れの対象になります。
都市計画法とは
日本の土地は、都市計画法(以下、法と記載)により都市計画区域、準都市計画区域、都市計画区域外の3つに分けられ、都市計画区域は「市街化区域」「市街化調整区域」「無指定区域」に線引きされています。
都市計画区域は日本国土の約4分の1を占め、総人口の94%が居住しています。さらに、国土の4%ほどである市街化区域には、総人口の約70%が居住しています。
市街化区域とは「すでに市街地を形成している区城、および概ね10年以内に市街化を図る区域」とされ、原則として建物の建築や開発行為が可能です。用途地域を指定し、道路や公園、下水道等の整備を行い、計画的に市街化が図られます。
市街化調整区域とは「市街化を抑制すべき区域」とされ、自然環境等を守る趣旨から、住宅の建築や宅地化のための開発行為が制限されます。
無指定区域は人口が減少傾向にあるなど、市街化の圧力が弱い地域であり、土地利用に関する規制等が緩くなっています。
都市計画区域では、法2条1項各号に該当する以外の開発行為は、あらかじめ都道府県知事(指定都市等ではその都市の長)の許可が必要とされています。
用途地域との関係
都市において、種類の異なる土地利用が混じっていると、互いの生活環境や業務の利便性が悪くなります。「用途地域」は、用途や使用目的の異なる建築物が同一地域に混在しないようにするために定められたもので、用途地域が指定されると、それぞれの用途に応じて建てられる建物の種類が制限されます。
市街化区域は必ず13種類の用途地域のいずれかに指定されますが、調整区域については原則として用途地域を定めないものとされています。
無指定区域については、用途地域を定めている部分もありますが、定められていない部分(非線引き白地地域)もあります。
市街化調整区域における開発行為
都市計画区域や準都市計画区域では「一定以上の規模の開発開発行為を行おうとする者は、原則として都道府県知事から開発許可を受けなければならない」という規則があります。
開発行為とは、主として
㋐建築物の建築
㋑第1種特定工作物(コンクリートプラント等)の建設
㋒第2種特定工作物(ゴルフコース、1ヘクタール以上の墓園等)の建設を目的とした「土地の区画形質の変更」をいいます。
なお、図書館や公民館等の公益上必要な建築物のうち周辺の土地利用上支障がないもの、土地区画整理事業等の施行として行うものなど、規制の対象にならない開発行為もあります。
これらの定めによると、市街化調整区域においては、農業等を営む者の居住の用に供する建物などは、知事等の許可なく建築可能ですが、開発建築が許可される対象は限られます。
つまり市街化調整区域内の住宅は、非常に限定された地域および職業の人々に供されるものです。また、インフラ整備も十分とはいえず、市場性や住宅としての効用において、市街化区域に比べて劣るといわざるを得ません。
農家の分家の扱い
一般的に農家の分家は再建築が困難なため、慎重な判断が伴います。
法34条14号に規定された「開発審査会」の審議を経て許可されるものとして「農家の分家」があります。調整区域内で建築できる住宅としてお使われますが、以下のような合理的事情があることが要件となります。
・市街化区域と調整区域の線引きがされる以前から、本家世帯が所有している土地であること
・既存の集落かその周辺の土地であること
・本家世帯、分家世帯が他に住宅を建築できる土地を持っていないこと
・結婚、家族の増加、Uターンなど、住宅の建築が必要な理由があること
・建築する人が、本家世帯に属している人か本家世帯に属していた人で、本家たる世帯に属している人から3親等以内の人であること
農家の分家として許可を受けた土地であっても、処分性の低さで審査面の留意が必要です。調整区域内では住居としての需要が低いことに加え、買い手がいたとしてもその人が農業従事者でなければ建て替えの許可が下りないため、高く買ってもらうことは困難だからです。
市街化調整区域と【フラット35】
- 市街化調整区域内の物件が担保の案件では、必ず開発·建築許可書を確認することになります。
一般の金融機関の場合、ローン申込者の資力、年収等によって考慮の余地はありますが、処分性の低さによって、敬遠されることが多いことを念頭に置いておきましょう。 - 【フラット35】の場合、開発許可を得て適合証明書が発行され、住宅金融支援機構のために第1順位の抵当権の設定が可能であれば、市街化調整区域内でも借入れの対象になります。